利益の出ている会社には、生命保険の代理店や生保レディが群がります。
最近は個人情報保護がうるさくなりましたが、企業情報は全くの保護対象とされておらず、公然と売買されています。日頃こういったセールスを煩わしいとお思いかと存じますが、日夜電話、FAX、郵送での営業は止まるところを知りません。
そういった生命保険セールスが利用する文句は、
「節税をしましょう!」 とか、
「決算対策を行いませんか?」
等であり、利益を出すよりは、節税タイプの保険に加入した方がお得ですよ、というのが口上です。
この時、少し気の利いた販売員は、利益を削減する目的で保険に加入するのでは無く、「退職金を準備するために保険に入りましょう」などと持ちかけます。
退職金を支払うためには、資金の手当てが必要であり、計画的に貯めておかなければなりません。一方で退職給与引当金が廃止されましたので、
退職金を貯める場合、
生命保険を活用しなければ、税金を支払った残りの金額しか貯まらないのです。
生命保険などの手を打たなければ、1年で40%、2年で80%、10年間では実に400%もの金額が税金として支払われて行ってしまうのです。
税金を支払う前に貯めましょうというのが考え方の基本です。
この考え方で退職金を貯めておかない限り、退職金を支払うことは出来なくなるのです。
このようなお話は聞き飽きたかもしれません。ここまでは良く聞く話です。
次に、私達が提携会計事務所よりの依頼でメンテナンスにお伺いする際に良く聞く話をさせていただきます。
私共では、保険の加入状況をチェックしており、常に不利な状況とはならないか、問題が発生していないかを管理しています。時には提携している会計事務所からの依頼によりメンテナンスを目的として経営者の方々と直にお会いすることもありますが、このような場面でよく耳にするのが次のようなフレーズです。
「保険に加入したら資金繰りが悪化した」
「保険に入らなくても良かった」
今までにこのようなお話を、またか!と思う位何度もお伺いしました。
我々の分析する限り、前者のパターンは
・例えば1億の利益が予想される法人に対して、1億の保険料を支払う保険に加入したケース
で発生
一方で後者は、
・同じようなケースで、翌年に利益が低下した(例えば8,000万円になってしまった)ような場合
に発生
しているようです。
利益が1億円に対し、保険料が1億円はかなり行き過ぎだと思います。これでは保険料を支払うために事業を営んでいるようなものです。ハードルが高すぎます。
資金繰りで考えた場合、1億円の利益に対し、何もしなければ(税金を正当に支払った場合)、税金で45%取られたと仮定しても残り5,500万円、一方で1億円の保険料を支払えば、税金は0になりますが、お金も0になってしまうのです。資金繰りは最悪です。
また、このような状況にしてしまった場合にもっと困るのは、銀行の融資も受け辛くなることです。
利益が0ですから、自ずと銀行の格付は低下し、融資を受けづらくしてしまうのです。
保険に加入したことによって経営者は預金をしているつもりになっていますが、銀行は預金をしたとは考えていません。利益があまり無い会社であると評価をし、格付を低下させます。
建設業の場合には、経審の評点も利益圧縮により大きな痛手を被ります。それでも少しだけ黒字にしていれば今期はまだ大丈夫です。
翌年に利益が減少すれば、保険に加入したことにより利益は出ず
と最悪の事態となります。
そんな事態に陥らないようにどのように税金を圧縮したらよいか・・・。
税理士の先生によっては適切なアドバイスをいただけない場合もあると思います。
お悩みの際は「The税金対策」に是非ご相談ください。
平成17年8月30日
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